鈴木裕大 / 街クラブ研究所

育成サッカーコーチ・クラブマネジャーのブログ

本日は、お日柄もよく

旅の途中から読み始めた小説、原田マハさんの〝本日は、お日柄もよく〟

昨日読み終わりました。

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素晴らしかった。泣きました。

 

ざっくり言うと大手企業に勤めるOLこと葉が親戚の披露宴で伝説のスピーチライター久遠久美に出合い、その後弟子入り。政権交代を目指す野党のスピーチライターに成長していく物語です。

 

最初の披露宴での久遠久美のスピーチが素敵すぎてまずそこで涙がこぼれました。

 

「あれは2ヵ月ほどまえのことだったでしょうか。ある夜、厚志君が『相談がある』と言って、私に電話をしてきました」

 

「『実は好きな人ができた。会社でアルバイトしている子で、まだ二十歳そこそこ。すごくかわいくて、とってもいい子で、みんな彼女を狙ってる。だから僕は考えた。結婚しちゃえばいいって。それって、早すぎますか?』厚志君は、そう言ってきたのです。私はすぐさま答えました。『それのどこが相談なの?もう決めてるじゃない』って」

 

「世の中に、早ければ早いほどおいしいものが、みっつあります。①ボージョレ・ヌーヴぉー。②吉原家の牛丼。③結婚。今日は会場にこのみっつが勢ぞろいしていますね。大変、幸先がいい。そう思いませんか、皆さん?」

 

「そして、年月を重ねれば重ねるほど、深いうまみが増してくるものがみっつあります。①愛情。②人生。そして③結婚です」

 

「新郎のご両親は、残念ながら、一昨年、昨年と、この日を待たずに他界されました。私はご縁あって、新郎の父上、衆議院議員、今川篤朗先生と懇意にさせていただいておりました」

 

「奥様を亡くされた先生に、生前一度だけ、失礼を承知でうかがったことがあります。『ご結婚なされて、1番よかったことはなんでしたか?』先生は、あの独特のシブい声で、それでもたまらなくお優しい口調でおっしゃいました。『深いうまみのある人生を、あいつと一緒に味わえたことかな』そして、こうもおっしゃいました。『1度、厚志にも言ってやらなくちゃな。ときにしょっぱくても苦くても、人生の最後のほうで、1番甘いのが、結婚なんだ。お前もさっさと体験してみろ、いいもんだぞ、って』」

 

「はたしてお父さまが、厚志君にその言葉を伝えたかどうか、私にはわかりません。けれどこうして、いっぱいの愛情と豊かな人生を分かち合うために、厚志君は恵里さんとともに、ここに座っている。お父さまに代わって、申し上げたいです。『どうだ厚志、結婚ってなかなかいいもんだろ?』」

 

「お父さまも愛されたフランスの作家、ジョルジュ・サンドは言いました。『愛せよ。人生において、よきものはそれだけである』 本日は、お日柄もよく、心温かな人々に見守られ、ふたつの人生をひとつに重ねて、いまからふたりで歩んでいってください。たったひとつの、よきもののために」

 

おめでとう。

 

という久遠久美のスピーチから物語が動き出していく小説です。かなりおすすめ。

スピーチや話し方の勉強にもなりますし、何より温かい気持ちになれます。

 

以下の動画がわかりやすく伝えています。


まじで泣いてしまった…悔しいけど、いい本です。

 

いい本に出合えました。また読み返したくなる本です。ぜひ。

 

鈴木ゆうた